池田信夫さんがAmebaTVに出演されているのを見ましたが、想像していたよりもレベルの低い議論で驚きました。
「NHKから国民を守る党」という政党の地方議員が26人も当選したこともあり、これを機会にNHKについて思うところを記します。
池田信夫さんもNHKから国民を守る党も最終的には「NHK放送のスクランブル化」が解決策であると主張されていますが、私は「スクランブルなし、国営放送として税金で運営」を主張したいと考えています。
これによって、NHKの訪問員と「テレビがある/ない」とか「受信料を払う/払わない」という不毛なやり取りをする必要がなくなり、NHKも受信料に関わる裁判から解放されることが最初に連想される効果ですが、それ以外に重要な効果があると考えています。
私が一人の視聴者として思うところは、「すべてのテレビ局が過剰に反体制的であることが国民が政府の政策を理解することを妨げている」ということです。
我々がテレビ報道で政府の政策を聞く場合には、テレビ局の反体制的なフィルターを通して、しかも、政策について理解の浅い記者を通して聞くことになります。さらに、どの政策を報道して、どの政策を報道しないのかを決めているのも、反体制的で理解の薄い記者です。これでは、国民としての当然の権利である「政府の政策を正確に理解する」という権利が侵害されてしまいます。それならいっそ政策を立案した役人本人から直接、時間をかけて説明してもらいたいと考えています。政府がやろうとしていることを、政府から直接、フィルターなしで聞きたいということです。
日本のような成熟した国家で新たな政策を立案しようと思えば、膨大な利害調整が必要でその結果として出来上がった政策も複雑怪奇なものです。それを理解するため重要な選択肢は「立案した本人から聞くこと」だと思っています。政府が新しい政策を実行するときには広報予算をかけて国民に周知するのだから、NHKの運用費用は広報予算と割り切ってもいいかもしれません。
当然のことながら、NHKが権力者側の放送局になることの問題はあると思います。政府にとって都合の悪い情報は報道しないとか、事実を捻じ曲げて報道するということはあり得ると思いますが、その反対側には過剰に反体制的な民放の放送局があるので、体制よりの報道は十分に中和されると思います。なにより、賢い視聴者が政府寄りのバイアスかかっていることを前提に政府の説明を割り引いて聞くので、大きな問題になるとは考えにくいです。それに、たとえ嘘の報道をしようとしても、十分な時間が与えられると、細部にまで嘘を整合させないといけなくなるので、かえって嘘はつきにくくなります。
第二次世界大戦中の「大本営発表」が問題なのは、国民にとっての唯一の情報源が嘘を報道したからであって、現在では多くのテレビ局や報道機関が様々な角度から報道しているので、NHKが権力者側の放送局になっても問題はないと考えています。
また、「テレビを見ないからNHKは必要ない」という論理にも違和感があります。特に災害時のNHKの放送はすべての国民にとって有益です。国内の隅々にまで情報ネットワークを張り巡らし、国民にとって必要な情報を提供するためにはそれなりの準備が必要で営利目的の民放には限界があります。
また、海外に対して日本を正しく理解してもらうための放送も、日本人が見るわけではありませんが日本人にとって有益です。
これまで述べてきたように、NHKの国有化が実現するためには反体制的な民放の存在が必要です。現状では十分な数の民放やインターネット番組があるので、成立条件は満たしていると思います。
井上 孝之
プロフィール
NHKが国有化されたら毎週見ている「コズミック・フロント」と「英雄たちの選択」というマイナーな番組がどうなるかが心配な技術系サラリーマン
2019年5月29日水曜日
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